マリボル大学とのCOIL(オンライン国際協働学習)-アーヴィング・ゴフマン「アサイラム」の読解-を開催しました

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マリボル大学とのCOIL(オンライン国際協働学習)-アーヴィング・ゴフマン「アサイラム」の読解-を開催しました

2021.07.15

 2021年4月26日(月),5月12日(水),24日(月)(時間はいずれも日本時間の17〜19時)の計3回にわたり,スロベニアのマリボル大学と日本大学文理学部の学生の間でCOILをおこないました。マリボル大学からは5名,日本大学文理学部からは4名の学部生が参加しました。言語は英語で実施しました。内容は,社会学の古典である『アサイラム』(E.ゴフマン著、1961年)の現代的読解を試みるというものです。『アサイラム』は,世界各国において,社会学を学ぶ研究者や学生が読む基本文献です。このテキストを,スロベニアと日本の学生が,どのように読解しているのかをめぐって議論しました。

 第1回(4/26)は,まず,参加者の自己紹介をおこないました。次に,マリボル大学のアレス・ブチャー先生と日本大学の石岡丈昇が,『アサイラム』の基本的な論点を提示しました。それを受けて,全体討論をおこないました。

Zoomでの第1回の討論の様子

 第2回(5/12)は,第1回の内容を受けて,参加学生が『アサイラム』を今日的に再考する論点を提示し合いました。面白かった箇所,さらに現在において更新できる論点のありよう等をめぐって,活発な議論がおこなわれました(誰かが話すと、その人が次の話者をランダムに選ぶという−“Next, Ann, please”のように−演習スタイルも,文理学部の学生には新鮮だったようです)。

 第3回(5/24)は,最終報告会として,マリボル大学と日本大学文理学部の学生が,それぞれパワーポイントの資料を用いて発表をおこないました。マリボル大学側では,『アサイラム』をコロナ禍における高齢者施設と絡めて考察するプレゼンがおこなわれました。「アサイラム」とは一般社会から隔離された施設のことを指しますが,コロナ禍において,高齢者施設では外来者の訪問が禁じられたことにより,入所者の社会的交流が絶たれて,精神的に孤立する状況が指摘されました。日本大学文理学部側では,日本のさまざまな事例が報告されましたが,なかでも映画『千と千尋の神隠し』を「アサイラム」と絡めて報告したプレゼンは,とても刺激的でした。現実社会だけでなく,表象文化の内部においても「アサイラム」を読み取ることができるという,とても興味深い視座の提示でした。

第3回の最終報告会の一場面。『アサイラム』を『千と千尋の神隠し』とつなげて解釈する発表。

 初めてのCOILの取り組みでしたが, 授業評価アンケートでは, 両国の参加学生から非常に高い評価を得ることができました。COILは, 新たな学びのスタイルを提供できることを実感しております。以下に, 授業評価アンケートの自由解答欄に書かれたいくつかの参加者の声を抜粋して, この報告文章を閉じます。

【日本大学文理学部の参加者の声】
最初から最後までとても緊張しましたが, とても楽しめました。スロベニアのことを今まで名前しかしらなかったのですが、この講義を受けてとても遠い土地にいる方たちを近く感じることが出来ました。また, 授業の形式が日本によくある講義形式ではなく、参加型の海外らしい形式だったことに刺激をうけました。
ヨーロッパの学生と話す機会は、普通の大学生活をしていたらまずないことなので非常に楽しかったです。3回目のメインディスカッションの前に生徒だけで話をできたのもすごくよかったです。

【マリボル大学の参加者の声】
It was an interesting topic and I am glad I got to read more about it. I also learned some new things from other culture’s perception, and it broaden my horizons, so I am very thankful for the event.
I would just like to add that this seminar was something different. In the way how the two cultures connected in some ways and how different are on the same time is amazing. The added value was definitely there, we discussed things that are usually not discussed, we touched topics in a way that now I will not looked at them the same way (nursing homes during Covid, obligated drinking after work, cartoons as warning signs what is happening in the real world). I learned something new in a way that cannot be learned just by discussing amongst the culture (people in class). I liked the classes very much and I need to say that the continuation from the first seminar till now was nice based. Again, thank you that I could be a part of this.

文責:石岡丈昇(社会学科 教授)

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