それで、数学のなかでも特に「幾何学」に興味を持ち、もっと深く勉強してみたいと数学科を志望しました。実は、私は生まれつき視覚に障害を持っています。小学生の時まではまだ少し視力はあったのですが、中学の頃からほとんど見えなくなりました。普通の人に比べれば少しハンディキャップがありますが、高校の先生に「数学科に進みたい」と相談したところ、『日大の文理学部の数学科は、視覚障害を持ちながら卒業した方がいらっしゃる』との話をうかがって、こちらに入学したのです。
学科では、まわりの方々にいろいろとサポートしていただきました。「日大」というと大きな大学だというイメージがありますが、「数学科」はこぢんまりとまとまって、いい意味で小さな空間でした。先生方との距離もとても近く、親身に教えていただきましたし、コンピュータ等の設備もしっかりしていましたので、思う存分「数学」に打ち込むことができました。
友人たちとの出会いも、ここで得た財産です。目が不自由な私のためにノートを読んでくれたり……夏休みや冬休みには、ファーストフードのお店にみんなで集まって、議論しながらいっしょに勉強していました。いい仲間たちに恵まれて、文理学部を選んで本当に良かったと思っています。
「教師」という職業は、将来の選択肢のひとつとして昔から漠然と考えていました。人と関わっていく仕事がしたかったんです。はっきりと決心したのは、学部の3年生の頃でしょうか。私が高校の時に、先生から教えてもらった数学の楽しさを、今度は私が伝えていきたい。そんな思いを抱いて、大学院でさらに研究を重ねた後、2005年の春から埼玉県の公立高校で数学教諭をつとめています。まだ新米の先生ですので、いまは教える技術をもっと高めていこうと努力しているところです。
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