地理情報システム(GIS)って何?

今回の講義に関するメッセージ

地理学がいろいろな学問と繋がっていること、位置情報の重要性、また、日常生活で実践的な学問であることを理解してもらえればと思います。また、GISが身近で日常生活で利用されていることに気が付いてほしいです。学問は難しいものではなく、身近な生活に役に立つものです。

研究テーマは?

地理情報科学,近接性の研究
近接性とは、ある地点からある地点への近づきやすさを測定します。近接性を研究するために、地理情報システム(GIS)を使用します。GISでコンピュータ上にデジタル地図を表示して、その地図上で地理空間分析を行います。地理空間分析というと難しいですが、居住地から一定距離の圏域を発生させてその圏域内のお店の数を求めたり、居住地から一番近いお店への道路距離を測定したりして、居住地が便利か不便なのかを評価します。近接性の研究は、応用分野が広く、災害などに対する避難所へのルートの探索や商圏の研究などにも利用します。

なぜこの研究を始めたのでしょうか?きっかけは?

大学院の修士課程に入った時の指導教授のアドバイスと、都市の便利さ、不便さに興味があったので。GISを使用しはじめたのは、大学院の博士課程1年の時からです。修士論文では、居住地から半径1km圏内の施設数をカウントすることをプログラムを作成して行っていたのですが、コンピュータ上の地図で自動的に発生して、つぎつぎにカウントできるソフトがあると連絡があり、そのソフトがGISだったことから始めました。当時は、日本にGISはほとんどない状態でした。

先生の小さいころの夢は何ですか?また、その夢と今、現在のギャップは?

中学生までは、古代史に興味があり、考古学者になりたかったです。今でも、古墳や遺跡を見に行くのが趣味の一つです。古代に関係する本は、地理学の本より読んでいるかもしれません。古代に関するカルチャーセンターの講座も受講しています。高校生では、遺伝学や分子生物学に興味を持ちました。地理学科を受験したのも、生物地理学ができるからという軽い気持ちからでした。現在、GISを使って、古代からの都市の配置の変化を表現することや、古代の景観復元をしてみようと考え、去年の12月から出雲地方について行っています。自分で考え、工夫すれば、夢とのギャップはなくなります。学問がつながっていることを実感しながら、出雲地方にはまっています。

先生のご出身地は?&故郷自慢をお願いします!

岩手県になっていますが、生後1か月から東京に12年間、千葉に20年間、そしてまた東京に住んでいます。東京は便利で活動的な都市で大好きです。何でもすぐに見に行けて、手に入れることができます(私の研究では、恐ろしいほど近接性が良いのです)。でも、岩手県の陸中海岸のきれいなことや、うに、荒巻鮭、いくらの美味しいことは自慢できます。

ご趣味・特技はありますか?

古墳や遺跡、寺院やお城を見に行くこと、町歩き(お散歩)、音楽や絵画、バレエ鑑賞(この頃は宝塚にもはまっています)、あと、鍋島焼のモダンで独創的、そして大胆な図柄が大好きで、鍋島焼の展覧会があると必ず行きます。

好きな音楽はありますか?

ヘビメタ以外は、大丈夫です。

どのように休日を過ごされていますか?

1週間の掃除の後、美術館や街歩き、買い物で終わってしまいます。長く休日が取れると国内旅行です。

プロフィール

関根智子 Tomoko Sekine
日本大学文理学部地理学科教授。博士(理学)。1965年生まれ。日本大学文理学部地理学科卒業ののち、日本大学大学院理工学研究科地理学専攻博士前期課程に進学、同大学院理工学研究科地理学専攻博士後期課程修了。博士後期課程2年生より2年間、日本学術振興会特別研究員(DC)。日本大学文理学部地理学科副手、助手、専任講師、准教授を経て、2012年度から現職。著書に『GISを利用した社会・経済の空間分析』(共著、2007年改訂版、古今書院)。

学部生と大学院生のためのGISの資格であるGIS学術士(公益社団法人日本地理学会)の設置や、一般社団法人地理情報システム学会で理事、代議員、学会賞関連の委員長などを務め、GISの普及に頑張っています。

フォトギャラリー

海外実地研究で訪れたイタリア ヴェネチアの風景です。世界一美しい広場といわれているサンマルコ広場にあるヴェネチアの玄関。向かって左の柱にはヴェネチアのシンボル、獅子がのっています。向かって左の建物は、ヴェネチアの政治などを執り行っていたドゥカーレ宮です。

海外実地研究で訪れたイタリア ヴェネチアの風景です。これぞヴェネチア!迷路のように張り巡らされている運河です。

私の好きなものの一つ、松本市美術館前(長野県松本市)にある前衛芸術家 草間彌生氏作の大きなチューリップのモニュメントの前で・・・。となりにいる人は秘密です。

松本市の南部にある弘法山古墳の墳丘の上です。古墳は、権力者の お墓ですので、眺めの良い場所にあることが多いのです、この古墳も松本市内と北アルプスの山々が一望できる素敵な風景が見られます。

授業風景①

授業風景②

GISを使用して、各建物から一番近いコンビニエンスストアまでの最短道路距離を測定し、その距離別に建物を色分け表示しました。事例Dの赤で示した▲印のコンビニの南西にある水色の建物二棟は、コンビニに近いのですが、道路がないため迂回してコンビニに行くので、100m以上の水色になっています。

GISを使って、出雲地方の10m標高データ(国土地理院)から作成した図に、さらに、古代の海、河、道路、行政区分を重ね合わせて表示したものです。

群馬県の総社愛宕山古墳の中、一番奥の玄室にある家形石棺です。盗掘の時に開けられた穴でしょうか?

群馬県の宝塔山古墳の石室の中です。後ろには、下部に仏教の影響を受けた格狭間に削ってある家形石棺が見えます。

奈良県桜井市にある赤坂天王山古墳。蘇我馬子に暗殺された崇峻天皇の墓とも言われています。横にある小さな穴を通って、古墳の石室の中から這って出てきたところです。疲れた~。