〜イップス〜

1 イップスとは?

 イップス(Yips)という言葉は聞き慣れない言葉だと思います。この言葉の語源は「子犬が吠える」という意味のyipで、プロゴルファーのトミー=アーマー(Tommy Armour)が初めて用いた表現といわれています。 イップス(イップス病)は神経に影響する心理的症状。俗に、スポーツ(特にゴルフ)の集中すべき場面において、プレッシャーのため極度に緊張することを表します。また、それを原因として震えや硬直を起こすこと。プレイ上のミスを誘発することをいいます。

 ゴルフを例にして症状を簡単にまとめるとこのようになります。
・腕が動かなくなり、ヘッドをコントロール出来なくなる(自分の考えている事が、体に伝わらなくなり、体が動かなくなったり、意に反した動きをしてしまう)
・パターの時、極端にチョロったり、又は考えられないような大オーバーする
・アイアンショット(アプローチ含む)の時、強烈なトップや、引っ掛け又は大ダフリする
・ドライバーショットの時、トップで固まって動かなくなったり、その為左に異常なスウェーをし非常に醜いスウィングとなり結果となる

 ゴルフではパッティングで緊張過剰などによりスムーズにストロークできなくなり、手が動かなくなって打ちそこなったり、あるいは自分の意図したよりもはるかに強く打ってしまったりします。多くのプロがこの病気にかかってトーナメントから消えていったと言われています。また、野球でもイップス病により極度の緊張から距離感がつかめなくなってしまい、5メートルのキャッチボールでワンバウンドを投げてしまうこともあるとのことです。

2 イップスに陥るケース
ケース1
・ベン・ホーガン選手は全米オープン4勝、全英オープン1勝、マスターズ2勝、全米プロ2勝、米ツアー62勝したゴルフ史上最高のプレーヤの1人であり、不屈の精神力を持つプロゴルファーの鏡である。
しかし、パターのイップスで、現役引退を余儀なくされたと言われている。
ケース2
・小達敏昭選手は姉(女優の故夏目雅子さん)ゆずりの端正なマスク、抜群の飛距離で91年に華々しくデビューした。2001年JCBクラシック仙台で8年ぶりの優勝を飾ったが、その小達が8年も優勝から遠ざかっていた原因はアプローチイップスと言われている。低迷期がつづき、シード落ちも経験したが、転機は98年のオフで日大後輩の内藤雄士コーチと出会ってスイング改造しイップスも克服したと言われている。
ケース3
・尾崎建夫選手は93年テーラーメイドKSBの優勝から7年ぶりに2001年フジサンケイクラシックで優勝した。腰痛を理由に長尺パターを使用したとあったが、それはウソであり、全く手が動かなくなるイップスだった。コースでは見せない努力と苦しみに加え、終身シードの兄・将司と弟・直道が活躍する中で肩身の狭い思いに、逆に反発を感じて戦った。3兄弟の真ん中の反骨心を、復活までの心の支えにして。(兄ジャンボも過去日本プロで、最終ホール1mのパットを3度も仕切りなおしたという場面がありました。これも、一種のイップスと思われます)
ケース4
・江川卓さん(元巨人軍)はアイアンとドライバーのイップス。よくゴルフ番組に出ていたが、ある日を境に全く出てこなくなった。(自ら出演を断ったのかどうかは不明)
ケース5
300盗塁の金字塔を打ち立てた西武の松井は、2003年6月3日までに8度も盗塁に失敗し、恐怖心で盗塁イップスに陥った。松井は試合の様々なシーンを収録したDVDを見て、反省とイメージトレーニングを繰り返した。

3 治療法

 現在、イップス病の完璧な治療法はありません。しかし、次のようなことが解決策としてとられています。ゴルフのことを例に挙げるとこのようになります。
・最高の結果を求めたり、深刻に考えず、アバウトな気持でプレーする
・ワッグルで力を抜き、テークバックでスウェイしないことだけを考える
・腕や手に意識を持つと出てしまうので、肩を回して、肩で打つ意識でスウィングする
・素振りと本番スウィングストロークの大きさを同じにする(他人に見てもらう事)
・ヘッドを丸く振るイメージを持つ
・メンタルトレーニングを受ける(良い指導員でなければ逆効果の恐れもある)
・とにかくゴルフを楽しむ事だけに専念する

4 まとめ

 イップス病についていろいろ調べてみてわかったことは、イップスは誰しもがかかる可能性のある精神的な病気であるということです。そしてゴルフだけでなく色々なスポーツで起こると言うことです。ゴルフでよく使われ、イップスにかかるプレイヤーが多いのはそれだけゴルフという競技がメンタルのスポーツだと言うことの表れではないかと考えられます。外部からのプレッシャーや自分の中で生じるプレッシャーによって普段は何も考えずにできていることが急にできなくなってしまうのがイップス病です。


参考資料
http://www.suponichi.co.jp/kuriyama/bbs/q-a2.html
http://www.fujitv.co.jp/js/digest/010313.html

あがり 緊張