哲学科
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どこからでも哲学は始まる人間は単に理性的な動物であるだけでなく、高度に感性的な動物でもあります。この感性というアンテナによって受け取られる最高の価値、それが美にほかなりません。ひと口に美と言っても、さまざまな美があります。自然にも、芸術作品にも、工業製品にも、あるいは人間の行為にも、ときには廃墟や廃物のなかにさえ美は備わっています。そのように至る所にある美を、しかし、漠然とそのままにしておかないで、そもそも「美」と呼ばれているものの内実は何なのか、対象の客観的性質なのか、それとも、個々人の傾向性によって異なる単に主観的な感覚にすぎないものなのか、さらには、芸術の本質や感覚のしくみがいかなるものなのか、といったことをはっきり分析しようとするとき、わたしたちは美学の門前に立つことになります。けれどもまた美学は、これらの問いをただ追いかけているだけではありません。自分が本当は芸術を好きだったこと、感じてはいたけれどはっきりと意識したことはない美があったことさえ気づかせてくれます。本学科は、美を通じて自己を発見したいすべての人に、かならず有益な方法を提供することができるでしょう。哲学は、一方では、古代ギリシアから数えれば2500年もの歴史をもつ、古い学問でありながら、他方では、その時代時代ごとに出て来る問題を相手にする、常に新しい学問です。また、哲学は、一方で、宇宙全体や社会全体にわたるスケールの大きな問題を扱いながらも、他方で、自分とは何か、人生に意味はあるのかといった、ひとりひとりの生活に密接にかかわる問題をも扱います。 哲学への入り口は、どんな所にも転がっています。友だちが見ている空と、私が見ている空とは、同じ色をしているのだろうか。友だちが見ている空の色が、私が見ている空の色と違わないと、どうして言えるのだろうか。時は流れると言うけれども、いったい時間の流れを測るようなもうひとつの時間があるのだろうか。 こうした問題の多くは、過去にいた哲学者もまた考えてきた問題です。これまでに、じつにさまざまな、また、ときに素晴らしく奇妙であったり不思議であったりする解決が、提案されてきました。いくつかの問題は、哲学の手を離れて、自然科学や社会科学の問題になりましたが、まだ多くの問題が残っていますし、新しい問題も生まれています。誰でもきっと、興味のもてる問題が見つかるはずです。●1

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