日本大学英文学会  

月例会報告

 *2010年度

★1月例会(2011年1月22日)

[司会] 文理学部教授 塚本  聡

[研究発表]

1. 文理学部助教 一條 祐哉
  英語のhave所有構文の意味論的考察
   

2. 文理学部講師 板倉   亨
  King Lear
という「欲望」の位置
   

[梗概]

1. 英語のhave所有構文の意味論的考察

一條 祐哉(文理学部助教)

 本発表では、英語の所有を表すNP1 + have + NP2の文(以下、have所有構文)を扱う。この構文はざっとあげてみても、以下のような様々な意味を表す。

a. He has a gun with him[所持]
b. The table has a book on it.
[空間的位置関係]
c. John has two cars.
[譲渡可能所有]
d. John has blue eyes/a sister.
[譲渡不可能所有]
e. I have a headache.
[経験]
f. He has no time/no mercy.
[抽象物所有]
g. He had a party/a supper.
[出来事名詞]

本発表の目的は、文法的ふるまいをもとに、この構文の意味を再分類し、それぞれの意味の関連性(意味ネットワーク)とその構文の中心的な意味(スキーマ的意味)を考察することである。そして、この考察を通し、そもそも「所有」という概念とは何かを考えたい。

 

2. King Lear という「欲望」の位置

板倉   亨(文理学部講師)

   William ShakespeareKing Learは彼のいわゆる四大悲劇の中でも今ではHamletと並び称される作品であり、これまでも様々な観点から論じられてきた。彼がこの作品を創作するに当たって使用したであろう底本や影響を受けたであろう同時代の書物との関連についてはもちろんの事、主に19世紀にはKing Learの「狂気」に焦点をあてた「性格批評」の、そして20世紀には一切救いのないように思える結末に重きを置いた「ポストモダン批評」の対象となってきたように思われる。

 今発表の目的は、Jacques Lacanの精神分析理論(中でもその「欲望」の概念)と読者反応論の視座から、別の仕方でこの作品を眺め直すことにある。いわばこの作品全体を一つの無意識の機制と捉え、その中で様々にうごめく無数の「欲望」におけるKing Learという「欲望」の位置を捉え直すとともに、その位置と現代の観客・読者である我々自身の「欲望」との関連について考察する事で、King Learが持つ「現代的意義」の可能性を探りたいと思う。

 

 

★11月例会(2010年11月20日)

[司会] 文理学部准教授 飯田啓治朗

[発表者]

1.谷村 航(博士後期課程2年)
 機能的構文論から見たthere構文

2.堤 裕美子(佐野短期大学特任准教授)
 Hamlet 試論―Hamlet の苦しみについて―

[梗概]

1.機能的構文論から見たthere構文
                                    谷村 航(博士後期課程2年)

発表テーマ:「英語の存在文」

1.はじめに

上記のようなtherebeNPXの文をthere構文(there construction)と呼ぶ。本発表では、there構文を中心として、haveを用いた存在文やはだか存在文に触れ、英語の存在文について考えていく。there構文とは、ある人・物がこの世にあることをその事実を知らない人間に教える構文である。つまり、相手にとって新情報となる人・物を知らせる存在規定構文であるといえる。

(1) There is a man in the garden.

2.英語の存在文

英語の存在文はthere構文だけではなく、次のように存在を表すことができる。

(2) Some maps are on the table.
(3) The table has some map on it.

                                                                                                             (中右 1998

(2),はだか存在文とよばれており、(3)haveを用いた所有を表す文である。はだか存在文は、there構文より厳しい制約が課されている。その制約とは、主語を数量的に限定されていて、有形でなければならないというものである。There構文にはその制約はない。

(4) a. *{The/Most/All the/Sm} ridiculous laws are in this state.
   b. * An unpleasant smell is still in my car.
   c. * A mistake is in the last line.

(5)  a. There is still an unpleasant smell in my car.
   b. There is a mistake in the last line.
      c. There is a strange twist to the story.
                                                               (中右 1998

はだか存在文とthere構文の違いは、譲渡できないような所有関係を表す場合は、there構文のみ許されるということである。

(6) .a. There is {corn/space} in the manger.
      b. {Corn/*Space} is in the manger.
                          (Kimball
 1973)

 3. there構文の種類と統語的特徴

 一口にthere構文といっても、there構文内に生起する動詞や小節(small clause)の種類により、以下のように分類される 。

                                  ES
                                     

               be ES                                       Verbal ES

         ontological  locational periphrastic  IV ES(inside verbal)  OV ES(outside verbal)

(Lumsden 1988)

(7) be動詞を用いたthere構文

a. Ontological ES [there-AUX-be-NP]
 There is a Santa Clause.

b. Locational ES [there-AUX-NP-LOC]
 There is a fly in the mustard.

c. Periphrastic ES [there-AUX-be-NP-[VPV-ing/V-en/[PRED AP]-Y]
    There is a gold key missing.
    There is a lot going on.
    In Dufyy’s Bar, there was a man shot by the police.

(8) 一般動詞を用いたthere構文

a. There arose many trivial objections during the meeting.  [thereVNPX]
       b. Suddenly there ran out of the bushes a grizzly bear.     [there
VXNP]

(8a)は動詞の後ろに意味上の主語が現れている。これを動詞句内(inside verbal)there構文と呼ぶ。(8b)では意味上の主語が文末に生じている。これは動詞句外(outside verbal)there構文と呼ぶ。

 

参考文献

Kimball, J. (1973) “The Grammar of Existence,” CLS 9, 262-270.
Kuno, S. (1972) “The Position of Locatives in Existential Sentences,” Linguistic Inquiry 2, 333-378.
Kuno, S. and Takami, K (2002) Nichieigo no zidousi koubun  Kenkyusya, Tokyo.
Lumsden, M. (1988) Existential Sentences: Their Structure and Meaning. London: Croom Helm.
中右(1998)『構文と事象構造』, 研究社出版
Milsark, G. L. (1974) Existential Sentences in English. Ph. D. dissertation, MIT. Published by Garland (1979).


2.Hamlet 試論―Hamlet の苦しみについて―
                              堤 裕美子(佐野短期大学特任准教授)

 ShakespeareHamletは悲劇として実に有名であり、特に「復讐悲劇」の代表作である。悲劇は、主人公となる人物の行動が破滅的な結果に終わる筋を持つ劇として定義され、主人公Hamletの行動もこれに当てはまるが、悲劇Hamletはこれまで「文学のモナ・リザ」「演劇のスフィンクス」とも称されて、様々な解釈を生み出してきた。

 今回の発表では、作品の冒頭で、父王の突然の死と母親の早急な再婚を経験し憂鬱を抱えているHamletが、父王の亡霊に出会って復讐を乞われて以降、他の登場人物とどのように関わり、その結果、彼の心境にどのような変化が起きてゆくのかを追う。そしてこれらの変化から、Hamletの「苦しみ」の本質とは何であったのか考察する。

 

★10月英語教育シンポジウム(2010年10月23日)

[司会] 文理学部教授 吉良 文孝

[テーマ] 「私家版 英文解釈教授法」

[梗概]

今回の英語教育シンポジウムのテーマは、「私家版 英文解釈教授法」です。文字どおり、英文解釈(教授)法の極意を、三人の講師に、それぞれの立場から、お話いただくというものです。
 「直読直解」という魔法のような、一種憧れのことばや、あるいは、巷にある英語学校の「本校では、すべて英語の授業、そして英語でものを考えさせます。」といった謳い文句をよく耳にします。「直読直解」や「英語でものを考える」といったことは実際にありますが、日本語を母語とするわれわれにとって、外国語である英語を「直読直解」したり、「英語で考える」ことができるということは、有り体に言えば、それは、直読直解したり、英語で考えることができる(それほど高度ではない)程度の内容しかやっていない、ということです。わたしたちは、英語でそれ相応の中身のある文章なりを読む場合には、前に進み、後戻りし、また前に進み、また後戻りして読む(意味をとる)という作業をしているはずです。いわゆる、「反芻読み」です。これは、日本語の場合でもまったく同じです。難しい内容のもの(たとえば、哲学書など)を読む場合には、日本語を母語とするわれわれであっても、日本語を直読直解することはできないでしょう。そういったある程度の中身を持つ内容のものを読む際の極意について語っていただき、それに対する意見交換をすること、それが本シンポジウムの眼目です。  
 トップバッターとしてご登壇いただく原公章講師からは、英語を「目的」(つまり、学問)として学ぶ者のみならず、「手段」(たとえば、通訳や外交官など)として身につけようとする者にとっても、その効果たるや絶大であると伝説的にいわれている、かつて英文学科でも教鞭をとられた古谷専三先生の「古谷メソッド」についてお話いただきます。「古谷メソッド」とはよく耳にするのですが、その中身についてはよく知らない方が多いのではないかと思います。その全貌を知るよい機会となるでしょう。続いて、青木啓子講師からは、「音」の立場からの英文解釈法、つまり、音についての知識がいかに英文を読む上で助けになるのかを語っていただきます。そして最後に、黒澤隆司講師からは、「英文法」の立場から、英文法の知識がいかに英語を正確に読むことの助けになるのか、そして、英文法と「速読と精読」の関係についてお話いただけるものと思います。どれもこれも興味深い話が聞けそうです。
 大学生、あるいは中高生を対照とした日々の授業を通しての具体的な英文解釈(教授)法について語られることでしょう。それを材料に、参加される皆さんと活発な意見交換ができればと思います。
 

[発題者]

1.「古谷メソッド」とはなにか

原 公章(文理学部教授)

 英語の合理的な組み立て方を意識し、最も簡単な原則にまとめる(形式分析)。その上で、文中の言葉の意味内容を精密に分析していく(内容分析)。「形式分析」とは、「文中で使われている品詞とその働き」を認めて、文の構造を明確にすることで、これがメソッドの出発点となる。「内容分析」は、各語を、<時間・空間>、<推移・性質>、<作用・結果>、<意志・無意志>、<積極・消極>などなど、その場に応じた視点から精密に分析し、「語義の限定」を試みる。冠詞(古谷メソッドでは、形容詞に分類)のa, theの違いを始め、カンマ、セミコロン、ダッシュなどの用法にまで目を向ける。「その表現を少しでも書き換えたら、どのように意味が変わるか、また作者は何といって抗議するか」を考え、それぞれの表現の内実を十分に味わう。

 

2.英文解釈と「音」

 青木 啓子(文理学部講師)

 「音と英文解釈法に関係を持たせられないものだろうか。」
 このような出発点から本発表を行うはこびとなった。音の知識をどのように授業に生かせるものか、生徒に対してどのように指導できるのかを探る。
 発表の構成としては、まず、自分の授業でどのように行っているかの使用案を提示し、実際に皆さんに体験をしていただきたいと考えている。

 《使用例(90分授業時)》
―第一回目の授業で音声の説明(開文社出版のテキストNatural English for Beginners(2006)掲載の音声リスト等を配り,練習させる)

 《毎回の授業構成》
※   各自授業までに予習をさせる:本文訳と発音強弱を各自のノートに記入させる
  → 授業毎日に予習チェックを行う

―小テストを行う(20~25分)
  ‐小テスト箇所板書
  ‐Study time 5~15分あげる
  (この間に予習チェック→ 予習ポイントとして成績評価に反映)
  ‐読解の為のヒント(文の構造など)は適宜与える

―グループワーク(30分~)
  ‐3~4人1グループ:あてられた担当箇所の答えをディスカッション
  (本文訳に加え、英文解釈を含めた音声構造がどのようになるか(どのように発音するのがよいのか)を話し合う)
  →グループで話し合った本文訳を板書
  (板書中にチェックを入れ、要訂正箇所を指示し再度グループでディスカッション)

―音声の発表(初回授業時に配布した資料等を利用し、「どうしてそのような答えになったか」も含め、異議など意見交換)
  →発音練習

グループペーパー(本文訳/ 辞書を調べた表現・単語/ 音声強弱記入)の作成

―個人ワーク(10分~)
  ‐本文訳のチェック:各自自分の訳と板書を見比べる,

―グループペーパーの提出
  (出来によってグループポイントを与え、成績評価に反映)

 ―授業終了

 

3.英文法に根ざした英文解釈―速読か精読か?

黒澤 隆司(日本大学第二高等学校・中学校教諭)

 「そりぁー、直読直解(速読)ができればいいですよ。でもそんなこと、高校生にできるんですかねぇ?」
 現在、高校3年生のReadingを教えているが、最近このように思うことが多い。指導要領にはReadingについて「必要な情報を得たり、概要や要点をまとめる」といった指示が書かれている。しかし「どうすれば正しく英語が読めるようになる」のか。
 勤務校では、今年度、速読としてある程度まとまった量の英語を読ませるとともに、正確に英語を読ませる訓練として、精読を行っている。文の構造を捉え、正しく英語を理解し、日本語にさせる。極めて古典的といわれようが直読直解などというのは英語の構造がわかったもののみができるのであって、わかっていない大半のものは理解した気になっただけで、英語など読めてはいない。今日は、私が同じ学年の先生たちとどのように精読の授業を行っているかを紹介させていただきたい。

 

★10月特別講演会(2010年10月9日)

 [司会] 文理学部教授 高橋 利明

 [講演者] Elizabeth Schultz(カンザス大学名誉教授)

 [演題]

“ Is Moby-Dick still the Great American Novel ? ”

 

★9月イギリス文学シンポジウム(2010年9月25日)

 [司会] 文理学部教授 原 公章

 [テーマ] イギリス教養小説(ビルドゥングス・ロマン)の諸相

 [発表者]

       1.  上島 美佳(通信教育部講師)
                    Charles Dickens, David Copperfield

                2.  原 公章(文理学部教授)
                    George Meredith, Diana of the Crossways

        3. 八木 悦子(文理学部講師)
         James Joyce, A Portrait of the Artist as a Young Man                                     

        4. 前島 洋平(文理学部助教)
         W. Somerset Maugham, Of Human Bondage
                                     


★6月例会及び特別講演会(2010年6月26日)

 [司会] 宗形 賢二(国際関係学部教授)

 [発表者] 石川 勝(文理学部講師)
The Single Oneへの回帰―サリンジャーとフリーメイソン

 サリンジャーとフリーメイソンとの関係は以前から指摘されていたが公表されていないため推論の域を出ない。しかし彼の作品を精読していくとき、フリーメイソンとの関わりを抜きにしてその中にちりばめられている謎を解くことができないことがはっきりしてくる。特に6,13などの数字の使い方と、全ての宗教を統一しようという意図において、他の解釈は難しいように感じられる。
 今発表では"For Esme with Love and Squalor"と"Down at Dinghy"を中心に一つ一つ事実を積み重ねていくことで、サリンジャー作品におけるフリーメイソンの影響を解き明かしていきたい。

<特別講演会> 

 [司会] 松山 幹秀(文理学部教授)

 [講演者] 大津 由紀雄(慶應義塾大学教授)

 [演題] 

言語教育の構想―「ことばへの気づき」を基盤に母語教育と外国語教育を一体化する

 

★5月例会(2010年5月15日)

 [司会] 高橋 利明 (文理学部教授)

 [発表者] 1.齊藤 雄介 (博士後期課程 2年)
         中英語における非人称動詞の発達
      
Penn-Helsinki Parsed Corpus of Middle English Second editionを資料として―
 

     
2.上滝 圭介 (文理学部講師)
         『オセロー』試論 ―handkerchiefのモチーフを手がかりに―
         

 

 [梗概]

1.中英語における非人称動詞の発達
  ―
Penn-Helsinki Parsed Corpus of Middle English Second editionを資料として―

齊藤 雄介(博士後期課程年) 

 本発表のタイトルは「中英語における非人称動詞の発達 Penn- Helsinki Parsed Corpus of Middle English Second editionを資料として―」である(以下PPCME2)。非人称動詞とは、主語が省略されているのではなく、その節の中に主語を必要としない動詞のことである 。

(1)  hēr sniwde

  here snowed

   ‘it snowed here’

(2)  mē     ðyncð   betre

to-me   seems  better

‘it seems better to me’

(3)  mē    lyst      rædan

to-me  pleases  to-read

‘it pleases me to read’

 

 上記のような動詞が非人称動詞である。しかし、このような動詞は、中英語期の終わりにはほとんど消失してしまっている。

そこで本発表では、その消失の要因について調べることを目的とする。PPCME2を資料として、中英語期の非人称動詞の使用状況を観察し、その要因に関して考察、分析する。なお、対象とする動詞はPPCME2の中で使用頻度の高かった、liken(like), listen(desire), neden (be necessary), semen (seem), thinken (seem), happen (happen)の6つである。

 非人称動詞の消失に関しての先行研究は、再分析を用いるか用いないかで2つに大別される。再分析を用いるものとしては、Jespersen(1927)などがあり、再分析を用いないものには、Fischer and van der Leek (1983)がある。消失の要因を検討する際には、これらの先行研究をPPCME2から得られたデータを用いて検証し、その正当性について考察を行う。

 参考文献

 

橋本 功 (2005)  「英語史入門」 慶応義塾出版会

Jespersen, O. (1909-49) A Modern English Grammar on Historical Principles, 7 Vols. (Repr. London, 1961.) Carl Winters Universitatsbuchhandlung, Heidelberg/Ejnar Munksgaard, Copenhagen.

 

 

2.『オセロー』試論 ―handkerchiefのモチーフを手がかりに―

上滝 圭介(文理学部講師) 

                  

 William Shakespeare (1564-1616)Othello (1601-4年頃初演、1622Q1出版、1623F1出版)は、ヴェニス国に仕官するムーア人Othelloとその部下Iago2人を中心に展開する悲劇作品である。本作にはじつに様々な論点があり、副筋や劇中劇を排したプロット構成、凄惨な終幕部、材源であるGiraldi Cinthio(1504-73)Hecatommithi (1565)との相違などが挙げられるが、本発表ではとくにIagoOthelloの妻Desdemonaの不貞の証として利用するhandkerchiefに注目したい。Arden版第3シリーズの装丁には宙に舞い落ちるhandkerchiefの図案が配されており、粗いセピア調の背景に揺らぐそのhandkerchiefは少々ピンぼけ気味に表現されている。ともすれば見過ごしがちなこのようなhandkerchiefのモチーフについて、Jacques Lacan (1901-81)の「手紙は必ず届く」とのテーゼをもとに精神分析的解釈を試みるというのが本発表の骨子である。

 

 

★4月例会(2010年4月17日)

 [司会] 保坂 道雄 (文理学部教授)

 [発表者] 1.  長島 万里世(博士後期課程3年)
                    『愛の果ての物語』に関する一考察―“too sensational”をめぐって

                2.  依田 悠介 (大阪大学大学院博士後期課程3年)
                     Coordination, Case and Operations after Syntax

 [梗概]

 

1.『愛の果ての物語』に関する一考察―“too sensational”をめぐって

長島 万里世(博士後期課程3年)  

 『若草物語』等数々の児童小説を生み出し、“Children’s Friend” と評されていた作家ルイザ・メイ・オルコットは、実はもう一つの顔を持っていた。彼女はペンネームを用いて多くのスリラー小説を遺している。その内容の多くは、殺人、裏切り、復讐、流血という反道徳的なものであった。ルイザはオルコット家の稼ぎ頭であったので、このような扇情的な作品を雑誌に投稿してお金を稼ぎ家族を養い、そして借金を返していた。
 『愛の果ての物語』は1866年に執筆されたが、編集者から「センセーショナルすぎる」という理由で却下されてしまう。結局この作品は130年後の1995年まで出版されることはなかった。ルイザが書いた他のスリラー小説と比べても、それほど過激とは思えないこの作品はどうして却下されてしまったのであろうか。いくつかの代表的なスリラー小説と比較することで、『愛の果ての物語』では一体何が「センセーショナルすぎ」たのかを考察していきたい。

 

2.Coordination, Case and Operations after Syntax

依田 悠介(大阪大学大学院博士後期課程3年)  

 Proposal: It has been widely presupposed that we have modules such as Lexicon, Syntax, LF and PF and each module is autonomous and thus each module has each set of operations. Under such point of view, Merge and Move (perhaps even Movement is product of merge) are the only operations in Syntax, for instance. However, some crucial data has been pointed out in recent years and the autonomy of each module has been reconsidered in some sense among some relevant works. This presentation will examine the explanatory adequacy of latter theory which is called Distributed Morphology (Halle and Marantz (1993), Embick and Noyer (2006)) and show some empirical data from Japanese and English to support premises (1).

(1) a. There are some syntactic operations which are not subject to syntactic constraint.

    b. Syntactic constraints limit SYNTACTIC operations.

Then from these premises, conclusion (2) will be deduced.

(2) There are some operations which are only applicable out side of syntax.

Moreover, via contrastive research on Japanese and English, difference on constraint-sensitivity of each language will be given as a byproduct.

 

 

 







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