バイオ分析化学 菅原研究室

生体内、特に哺乳類大脳内で情報を伝達している分子・イオンの時空間分布を高感度に検知し、その濃度変化を実時間でモニターするための方法や脳内物質を検知するための新しいバイオセンシング法の開発を行っている。

研究テーマ

神経伝達物質グルタミン酸のその場検知法の開発

哺乳類大脳中に存在するL-グルタミン酸は興奮性神経伝達物質の一つであり、記憶・学習や細胞死、パーキンソン病、抑うつなどの神経症に関わっている。 L-グルタミン酸を脳その場(in situ)で検出するセンサーの開発やシナプスから放出されるグルタミン酸を可視化する技術の開発を行っている。

神経伝達物質の放出は、神経領野の限定された空間で、刺激に反応して放出される。そのため、数μm程度の微小センサーが必要である。これまでに、超微小ガラスキャピラリーセンサー、切り取った生体膜を用いるパッチセンサー、酵素固定化法によるグルタミン酸の可視化技術の開発をおこない、実際にマウス海馬スライスに適応し放出されるグルタミン酸の量は、神経領野ごとに、刺激(脱分極、虚血、化学物質など)の種類によって異なることを示した。

  • 図1
  • 図2
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脂質膜を用いるバイオセンシング法の開発

約4-6 nm の厚さの超薄膜である人工脂質二分子膜は、生体膜と同様にイオンは透過できないバリアーとして働く。膜の中に大量のイオンを透過させるチャネル物質を包埋し、イオンの透過を化学物質でon/offスイッチングすることにより、化学物質の濃度をイオンの透過量に増幅、変換、それをセンサーの応答として用いる高感度脂質二分子膜センサーを開発している。

人工的に作成した平面脂質二分子膜に埋め込まれたメソポーラスシリカMCM-41 はチャネル物質として働くことを初めて示し、pMからnMレベルの物質の検出が可能な脂質二分子膜センサーを開発した。また、天然のチャネル物質グラミシジンと球状脂質二分子膜(リポソーム)を用いて、神経ペプチドを蛍光検知するためのリポソームアレイを開発し、数ng/ml程度のサブスタンスPおよびニューロキニンを選択的に検知できることを示した。

  • 図4
  • 図5

バイオセンシング法の高度化に関する研究

脳を含む生体内には様々な分子、イオンが存在している。それらの物質を高感度、かつ選択的に検出するための新しいセンシング法の提案と開発を行っている。新しい原理のセンサーの開発による高感度化や同時計測、高感度化によるサンプル量の低減化など、バイオセンシング法の高度化を行っている。

レセプター部位をもつメソポーラスシリカMCM-41の細孔に酵素を閉じ込め、イオンや分子を認識したときに酵素反応が制御されることを利用する蛋白質のバイオセンシング法の開発や酵素を多点修飾したガラスキャピラリーセンサーの開発、表面プラズモン共鳴センサーを用いるDNA-蛋白相互作用検出法の開発などを行っている。

図6

STAFF

菅原 正雄
教授 菅原 正雄 Masao Sugawara
Email sugawara chs.nihon-u.ac.jp
Office 本館 6階 06020室(化学602室)
研究業績等 http://kenkyu-web.cin.nihon-u.ac.jp/Profiles/32/0003190/profile.html
1970年 北海道大学理学部化学科卒業。
1972年 北海道大学大学院理学研究科修士課程化学専攻修了。
1973年 北海道大学大学院理学研究科博士課程化学専中途退学。
1973年 北海道大学理学部助手。
1975年 理学博士(北海道大学)。
1979年 Humboldt財団奨励研究員(西ドイツJuelich原子核研究所)。
1980年 日本分析化学会奨励賞を受賞。
1992年 東京大学助教授(理学部)。
1993年 東京大学助教授(大学院理学系研究科)。
1998年 日本大学文理学部教授。

所属学会
日本分析化学会、日本化学会、アメリカ化学会、電気化学会

高橋 裕輔
職員 高橋 裕輔 Yusuke Takahashi
Email takahashi chs.nihon-u.ac.jp
Office 本館 6階 06020室(化学602室)
2014年3月 日本大学文理学部化学科 卒業。
2014年10月 日本大学文理学部化学科 臨時職員。
2015年10月より 日本大学文理学部 任期制職員。