複雑系物理化学 藤森研究室

結晶、液体、それらの中間体である液晶、さらにはガラスなど、複雑な物性を示す物質について、その構造やダイナミクスを明らかにすることを目的として、熱測定や核磁気共鳴、誘電率などの科学実験を行っています。

研究テーマ

液体・ガラスなどの複雑流体における構造およびダイナミクス

生命を維持する上で欠かすことの出来ない物質の一つが『水』である。地球表面はその3分の2が水で覆われており、人体の60%は水で出来ているといわれ、細胞を形成する上で重要な役割を果たしているのも水である。水分子自身は非常に単純な構造ではあるが、その物性は非常に奇妙であり、古くから科学的研究対象となってきた。例えば、4℃で水の密度が最大になることは、既に300年前から知られていたが、現在でも充分に理解されていない問題の一つである。このように、複雑な物性を示す液体やガラスにおける構造や分子ダイナミクスを明らかにするための研究を行っている。

信州諏訪湖の「御神渡り」.(水の特異な性質により現れる自然現象)

信州諏訪湖の「御神渡り」.(水の特異な性質により現れる自然現象)

液晶における分子ダイナミクス

液晶における分子ダイナミクスの研究には核磁気共鳴(NMR)は非常に有用な手段の一つである。特に磁場中で配向した液晶のNMRスペクトルは有力な情報を与えてくれるが、スペクトルの帰属に関してはその方法論も未だ確立されていない。そこで、リエントラント液晶を中心に、等方相での多量子相関、固相での局所場分離回転側帯波分光、液晶相での配向誘起シフト、交差分極効率などを行い等方相および液晶相における13C NMRスペクトルの完全帰属法の確立を目指し実験を積み重ねている。同時に、液晶分子における分子骨格部の構造と秩序および運動性に関する研究も行っている。

液晶OBBFの液晶相における偏光顕微鏡写真

液晶OBBFの液晶相における偏光顕微鏡写真

高精度低温断熱型熱量計の開発

熱容量は物質の各凝集状態やその凝集状態の安定性について議論する上で非常に重要な物性量の一つであり、その絶対値の測定は断熱型熱量計によって可能となる。また、その測定時間スケールが100~100000 sであることを利用すると、結晶化やガラス転移温度領域における緩和現象など、時間スケールの長い緩和現象を観測することができる。現在、長時間および広い温度域で安定した性能が得られる高精度の低温断熱型熱量計の開発を行っている。目標としている装置の温度測定精度は0.01 mK、熱容量測定不精度は±0.06 %以内、不正確度は±0.3 % 以内である。

現在製作中の断熱型熱量計

現在製作中の断熱型熱量計

金属酸化物の合成と物性

金属酸化物はその組成のわずかな変化により、超伝導体から絶縁体まで、様々な物性を変化させることができる。その科学的要因を探索すべく金属酸化物の合成および物性の研究に取り組んでいる。

金属酸化物の合成と物性

土壌の熱分析

自然エネルギーとして近年注目を集めている「ヒートポンプ」であるが、その開発が進むにつれて、地下の土壌への影響が危惧され始めた。そこでヒートポンプによる地下環境への影響を明らかにするために、日本大学文理学部百周年記念館前で採取した土壌ボーリング試料を用いて、研究に取り組んでいる。

百周年記念館前でのボーリング風景

百周年記念館前でのボーリング風景

STAFF

藤森 裕基
教授 藤森 裕基 Hiroki Fujimori
Email fujimori chs.nihon-u.ac.jp
Office 本館 7階 07090室(化学708室)
研究室HP http://www.chs.nihon-u.ac.jp/chem_dpt/lab/fujimori/
研究業績等 http://kenkyu-web.cin.nihon-u.ac.jp/Profiles/33/0003267/profile.html
1989年 日本大学文理学部化学科 卒業
1994年 東京工業大学大学院理工学研究科化学専攻博士後期課程修了、博士(理学)の学位を取得
1994年 日本学術振興会 特別研究員(東京工業大学理学部)
1995年 財団法人手島工業教育資金団手島記念研究賞(博士論文賞)
1995年 パリ南大学アモルファス物質物理化学研究所(フランス) 研究員
1996年 日本学術振興会特別研究員(岡崎国立共同研究機構分子科学研究所)
1997年 日本大学文理学部化学科 助手
1999年 日本大学文理学部化学科 専任講師
2004年 パリ南大学物理化学研究所(フランス) 客員研究員
2004年 日本大学文理学部化学科 助教授
2007年 日本大学文理学部化学科 准教授(職制変更)
2013年4月 日本大学文理学部化学科 教授

所属学会
日本化学会、日本物理学会、日本熱測定学会、日本分子科学会、日本液晶学会、日本NMR学会

杉本 隆之
助手 杉本 隆之 Takayuki Sugimoto
Email sugi-t chs.nihon-u.ac.jp
Office 本館 7階 07090室(化学708室)
研究業績等 http://kenkyu-web.cin.nihon-u.ac.jp/Profiles/119/0011805/profile.html
2005年3月 日本大学文理学部 応用物理学科 卒業
2007年3月 日本大学大学院 総合基礎科学研究科 相関理化学専攻 博士前期課程 修了
2012年3月 日本大学大学院 総合基礎科学研究科 相関理化学専攻 博士後期課程修了 博士(理学)取得
2012年4月 日本大学文理学部 若手特別研究員
2013年4月 日本大学文理学部 自然科学研究所研究員
2014年4月 日本大学文理学部 化学科 助手B
2015年4月 日本大学文理学部 化学科 助手

所属学会
日本セラミックス協会